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闇金の押し付け融資(押し貸し)は返済無用?

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バブル時代の”押し貸し”とは

1980年代のバブル最盛期、余剰貸付資金(好景気でカネが多いに余っていた)の取り扱いに困った銀行やローン会社が、さしたる資金需要のない顧客に半ば無理矢理カネを貸し付けて、土地や株の購入を勧める行為が横行した。

1990年代のバブル崩壊期、今度は明らかな不良債権と知りながら金融機関がその処理を先延ばしするため、事実上は支払いに行き詰っているハズの債務者に、これまた無理矢理に延命のためのカネを貸し付ける行為があちこちで見受けられた。

※土地や株を購入するためのカネを借りた客が、バブル崩壊に伴う資産価格の下落で返済に行き詰り、自己破産を選択するケースが相次いだものの、金融機関は融資先に破産されると”貸し倒れ”となって未返済金が損失となることから、これを先送りする”返済のための融資”が横行し、不良債権問題を拡大させる要因となった。

 

こういった要望のない貸し付けを、”押し付け融資”または”押し貸し”と呼ぶ。

国内の不良債権総額がおよそ100兆円までに積み上がってしまった2000年代初め、諸外国からの追及もあって、国はようやく重い腰を挙げて金融機関の不良債権処理を断行していったため、この頃には”押し貸し”から手のひらを返した金融機関は”貸し剥がし”に邁進した。

そうして暫くは耳にすることがなくなった”押し貸し”が、2010年代になって復活する。

今度の舞台は銀行やローン会社ではなく、”闇金”であった。

 

闇金の”押し貸し”の手口

ある日、食べるにも事欠く程にカネに困っていたAさんが、「もしかしたら1000円くらい残ってるかもしれない」と淡い期待を抱いてATMで銀行残高を調べると、なんとATMの画面には”預金残高5万円”と表示されているではないか。

アルバイトの給料日はずっと先だし、他に収入源を持たないAさんにとって、この5万円は全く身に覚えのない金額だった。

にもかかわらず、Aさんは目の前のカネに目が眩み、「きっと親が仕送りでもしてくれたんだろう」と楽観的に自分を納得させて全額を引き出し、豪勢な食事をしたうえ、あろうことかパチンコにまで行ってしまった。

それから3日後、Aさんの携帯電話に身に覚えのない電話番号から着信が入る。

電話の相手は数年前に縁を切ったハズの闇金業者で、「カネに困ってるんじゃないかと思って、オマエの口座に5万円振り込んどいたんだけど、もしかして使っちゃった?」と、電話向こうのニヤケ顔が想像できるような声で言う。途端にAさんの顔は青ざめていった・・・。

 

これが闇金による”押し貸し”の手口の一例だ。

この後、闇金業者は、身に覚えのないカネに手を付けてしまったAさんに法外な利息を付けた返済を強要していき、仮にAさんが高額の利息を含めて全額を返金できたとしても、またスグに勝手にカネを振り込んで同じことを繰り返すのだ。

なお、こういった手口を用いる闇金業者は、裏の名簿業者等に出回っている多重債務者名簿を使って、”押し貸し”のターゲットを探すこともあるという。

 

”押し貸し”は不法原因給付

そもそも”闇金業”自体が無登録で貸金業を行う違法行為であるうえ、顧客の承諾等まったく無視して勝手に入金する”押し貸し”は、「金銭貸借契約が成立している」と言えるわけがなく、貸金業規制法及び出資法で定められた法定利息を超える”法外な利息”を支払う必要はまったくない。

また、Wikipediaによると、日本弁護士連合会(日弁連)は”押し貸し”を不法原因給付とし、勝手に入金されたカネも返還する必要がないとの見解を示しているという。

民法第708条(不法原因給付)
不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

 

なお、Wikipediaには”押し貸し”の被害者と闇金業者の間に弁護士が介入した場合の、弁護士の対応例が記載されているので紹介しておこう。

弁護士が介入した場合、「入金された金員は不法原因給付だから返還しない。不満があるなら業者側から返還を求める訴訟を行うように」という趣旨の通知をしたり、すでに業者に「返済」している場合は「不法原因給付なので、業者側に押し貸しされた人への金員の返還請求権はない。返還請求権がないから、すでに業者側が返済を受けたと称する金員は法律上の原因なく取得した金員であり、不当利得となる。よって、押し貸しされた人への返還を求める。」という趣旨の通知をする場合が多い。このような対応をしたからといって、闇金融業者が裁判所に提訴することなどまずないし、まして勝訴することなどあり得ない。(引用元:Wikipedia「クレサラ問題」より)

 

ただし、こういった法解釈があることを頼りに「返さなくて済むカネが入金された!ラッキー!」等と甘い素人考えでいると、相手が違法行為を厭わないならず者なだけに、時として自らを危険な目に晒してしまいかねないので注意が必要だ。

 

参考記事:
実体は闇金業者!偽装質屋の暗躍
闇金融(ヤミ金)からの借り入れ金は返済の必要なし?

 

本記事は、2015年04月24日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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