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離婚届を勝手に提出した場合、された場合

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“結婚も離婚も紙切れ一枚”

昔から“結婚も離婚も紙切れ一枚”とよくいわれるのは、どちらも事前準備や話し合い等が大層煩雑であるにもかかわらず、その手続き自体は用紙に必要事項を記入して判を押し、役所に提出するだけで完了してしまうからである。

とりわけ離婚については、親権や財産分与について長々と議論し、ようやく折り合いがついて離婚に至った等というケースでは、役所での“離婚手続き”がそれまでの数々の苦労に比べて“呆気な過ぎた”という印象を覚える人が多いようだ。

 

一方で、その手続きの容易さから、感情的になった“元”配偶者が話し合い等をすっ飛ばして勝手に離婚届を提出してしまい、大問題となってしまうことがしばしばある。

離婚は、離婚届に必要事項を記載し、夫婦の署名押印をして役所に提出・受理されれば成立する。

離婚届の筆跡が互いに本人ものであるかどうかは問われない。印鑑も、離婚届提出時に印鑑証明を求められることもないため、三文判でも認印でも通ってしまう。

書類に不備が見当たりさえしなければ、真正な届けであるかを問われず、夫婦のどちらかによって提出ができてしまうのだ(届出人の本人確認書類は必要)。

離婚届提出方法
届書を作成し、届出人の本籍地又は所在地の市役所、区役所又は町村役場に届け出てください。
なお、届出の際には、届出人の本人確認のため、本人であることを証明する(運転免許証やパスポートなど)を持参してください。(引用元:法務省)

参考サイト:法務省「離婚届」

 

相手方の了承・合意がないままに離婚届を勝手に提出した場合

相手方の了承・合意がないままに離婚届を勝手に提出することは、「有印私文書偽造罪」(役所に提出目的で偽造)、「偽造有印私文書行使罪」(偽造届を役所に提出)、「電磁的公正証書原本不実記録罪」(役所に戸籍の虚偽の記録をさせた)という犯罪行為に該当する。

刑法第159条(私文書偽造等)
行使の目的で、他人の印章もしくは署名を使用して権利、義務もしくは事実証明に関する文書もしくは図画を偽造し、または偽造した他人の印章もしくは署名を使用して権利、義務もしくは事実証明に関する文書もしくは図画を偽造した者は、3ヶ月以上5年以下の懲役に処する。 (後略)

刑法第161条「偽造有印私文書行使罪」(偽造私文書等行使)
1.前2条の文書または図画を行使した者は、その文書もしくは図画を偽造し、もしくは変造し、または虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
2.前項の罪の未遂は、罰する。

刑法第161条の2(電磁的記録不正作出及び供用)
1.人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
2.前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、10年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。(後略)

 

実際に、相手方の同意なしに離婚届を捏造して提出し、結果的に逮捕・起訴されたケースはしばしばある(ほとんどのケースが執行猶予付き判決)。

たかが紙切れ一枚、されど紙切れ一枚。

一刻も早く離婚したかろうが、離婚の話し合いで自分の主張を中々受け入れてもらえなかろうが、法を犯してはならない。

 

自身の了承・合意がないままに相手に離婚届を勝手に提出された場合

離婚届を勝手に提出されそうな場合や、喧嘩の勢いで離婚届に署名・捺印してしまったものの冷静になって気が変わった場合等は、相手が離婚届を提出してしまう前であれば、急いで役所(原則、本籍地のある役所)に「不受理申出書」を提出することで、離婚意思を撤回することが可能(不受理申出書が出されている場合、離婚届は受理されなくなる)。

不受理届出書の有効期限は最長6ヶ月間。6ヶ月内であれば自由に期限を設定できる。逆に6ヶ月以上に延長する場合は、期日に再度不受理届出書を提出する(同届出の提出に回数制限はない)。

不受理届出書の有効期限内に、離婚協議がまとまって双方合意のうえで正式に離婚することが決まった場合は、「不受理届出取下書」という書類を提出してから、改めて離婚届を提出することで離婚は成立する。

 

万が一、自身の了承・合意がないまま、相手方によって勝手に離婚届が提出され、それが役所の戸籍係に受理されてしまった場合は、これを無効にするにはいささか骨が折れる。

離婚届が受理されてしまうと、その後に“離婚の無効”を訴えるには、家庭裁判所に協議離婚無効確認の調停を申し立て、夫婦双方が“無効”であることに“合意”し、かつ家庭裁判所がその合意を“正当”と認めれば、当該“離婚は無効”となり、戸籍は訂正される。

調停で相手方が“無効”に合意しないのであれば、訴訟を起こし、「自身には離婚の意思がなかったこと」を立証して離婚無効判決を得る他に、“離婚を無効”にする手段は残念ながらない。

 

本記事は、2016年05月25日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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