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100%減資って何?を、スカイマークの例で解説

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再計画の内容

今年始めに東京地裁に民事再生法の適用を申請し、事実上の破綻に至ったスカイマークが4月22日、都内で事業再生計画を発表するための記者会見を開いた。

 

同再生計画のキモとなるスポンサーには、2大航空会社の一角であるANAホールディングス(東1・9202)-全日空グループと、不動産賃貸大手のアパマンショップ(JASDAQ・8889)やTV・CM制作大手のTYO(東1・4358)等に投資実績がある投資ファンドのインテグラルが決まった。

出資比率はANAホールディングスが最大で19.9%、投資ファンドのインテグラルが過半数超えの50.1%となる見込みだという(残りは金融機関の出資となる予定)。

出資総額はおよそ180億円で、全額がこれまでの債務の弁済に充てられるようだ。

再生計画ではインテグラルやANA、金融機関などが計180億円をスカイマークに出資し全額を債務の弁済に充てる。6~7月の債権者集会で計画が承認されればスカイマークの現経営陣は退く。後任の会長はインテグラル、社長はANA側が指名する。取締役は計6人で、5年以内に株式の再上場を目指す。(引用元:日経新聞より)

 

なお、スカイマークの債務総額は3146億円にも上り、債務超過(企業の負債総額が資産総額を上回る状態)に陥ることは避けられない

そのため、債権者集会で計画が承認されれば、100%減資を実施して既存株主に”債務超過の責任”を問う方針であり、既存のスカイマーク株は100%減資によってすべてが文字通り”紙屑”となる。

 

参考サイト:ANAホールディングス「プレスリリース詳細」
参考サイト:インテグラル株式会社「ニュースリリース」

 

そもそも100%減資とは

100%減資とは、債務超過の解消手段としてしばしば用いられる財務手法で、企業のすべての発行済み株式の価値をゼロ円まで減少させることを意味し、100%減資を行った企業の資本金は一時的にゼロになる。

会社法第447条(資本金の額の減少)
株式会社は、資本金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 減少する資本金の額
 二 減少する資本金の額の全部または一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
 三 資本金の額の減少がその効力を生ずる日
2.前項第一号の額は、同項第三号の日における資本金の額を超えてはならない。
3.株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定」とする。

 

これにより、それまでの株主が保有する株券は無価値となり、当該旧株主は株主でなくなる

そして、100%減資を行った後は、即座に新たな株主となるスポンサー(スカイマークのケースでは、インテグラルとANAホールディングス)によって新規出資が行われることとなる。

 

100%減資によって旧株主に退場してもらうことで、資本金を一旦ゼロにして、そこに新たな株主が出資。

こうして、新たな株主が出資した資金(現金)によって、バランスシート上の資産の部は積み増しされることとなり、あわせて債権者に一部もしくは全部の債務免除を要請し、債務を圧縮して資産を積み増すことで債務超過状態を解消してバランスシートの健全化を図るわけだ。

※スカイマークのケースでは、スポンサー企業による新たな出資分は全額が債務の弁済に充てられる見通し。

※しばしば99%減資を実施する債務超過企業も見受けられるが、この場合は100%減資の場合とは異なり、既存の株主は減資実施後も株主としての地位は失わない。その代りに、既存株主の持ち分は1/100に希薄化することとなり、株主も投資分の毀損をもって責任を負うこととなる。

 

問題は財務以外にも山積

スカイマークは5月29日に東京地裁に”100%減資の実施を含む再生計画案”を提出し、債権者集会が開かれる予定。

スカイマークはこれらの再建策を盛り込んだ再生計画案を5月29日に東京地裁に提出する。債権者集会で計画案が承認されれば、株式の価値をゼロにする「100%減資」を実施し既存株主の株をすべて無効にする方針。同時にインテグラルからの融資を株式に振り替える「デット・エクイティ・スワップ」を行い、ANAなどには新株を発行する予定。(引用元:日経新聞より)

※デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap)とは、文字通り、債務と株式を交換すること(債務の株式化)を意味する。新スポンサーとなるインテグラルは2月に運転資金としてスカイマークに約90億円を融資しているが、この貸金を株式に振り替える形で出資することとなる。

 

スカイマーク現会長の井出氏および現社長の有森氏は近く退任し、インテグラルから新会長を、ANAホールディングスから新社長を招へいする予定。

インテグラル、ANAホールディングスともにスカイマークの再建にあたっては相応の自信を見せているが、スカイマークが国内航空3位としての確固たる地位を固める道程は始まったばかりだ。

 

問題は財務以外にも山積している。

およそ20年前に、低価格運賃を全面に出して航空業界に参入したスカイマークだが、今では更なる低価格運賃を武器にするLCC(格安航空会社)にそのお株を奪われてしまい、大手2社とLCCの間に挟まれた格好のスカイマークの立ち位置は極めてあやふやだ

果たして、新生スカイマークは財務状況を健全化させるとともに、奪われてしまった顧客を呼び戻し、事業再生を成し遂げることができるのだろうか。

 

参考記事:
スカイマークは民事再生法、JALは会社更生法

 

本記事は、2015年04月30日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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