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Brexit-英国がEU離脱へ!今後の見通しは?③

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英国のEU離脱で、これから欧州やその他主要国に起こること

<現EU加盟国のなだれ式離脱の可能性>

Brexit=British+Exit-英国がEU(欧州連合)を離脱することを指して使われるようになった造語だ。

2015年5月、英キャメロン首相が国内世論の高まりを納めきれなくなり、英国のEU離脱か残留かを問う国民投票の実施を決定して以降、盛んに使われるようになったこのBrexitという言葉は、国民投票実施日が近づくにつれ世界中で流行り言葉となった。

投票実施前の世論調査で、しばしば「離脱派優勢」が伝えられるとその勢いは加速。投開票日にはこれが最高潮に達し、世界中のメディアというメディアが絶え間なくこの言葉を使って情勢を報じた。

その勢いは今なお健在で、少なくとも、当該原稿執筆時点では、世界で最もホットな言葉といっても過言ではなかろう。

 

ここもと、そのBrexitに幾つかの類似語が生まれ、国民投票で英国のEU離脱が決まるや、それらが一気に世界中に広まっているのをご存知だろうか。

以下は、ざっと各メディアを一通り見回して確認でてきた類似語の一部だ。全てがBrexit同様、国名や通り名の頭文字に「離脱」を意味するExitを足し合わせた造語となっている。

・Frexit→France(フランス)+exit
・Gerexit→Germany(ドイツ)+exit
・Swexit→Sweden(スウェーデン)+exit
・Spexit→Spain(スペイン)+exit
・Grexit→Greece(ギリシャ)+exit
・Czexit→Czech Republic(チェコ)+exit

ここに名が挙がった国々は、英国とは異なり、今まさにEU離脱の是非を問う場面にまできているわけではないが、多かれ少なかれ、各国ともに国内・EU域内の”格差”に不満を示し、「EUを離脱して英国のように独自路線を進むべき」とする意見がある。

仮に、英国がEUを離脱したもののデメリットを補って余りあるメリットを享受することになれば、ここに名の挙がった国々を含め、他のEU加盟国が「我も我も」となだれ式にEU離脱を訴え始める可能性がある。

EU側としては、それはなんとしても阻止せねばならない。

 

英国の輸出の半分はEU向けが占めているというが、英国-EU間の貿易において双方が関税をかけることになれば、関税ナシの自由貿易が行われている今と比べて、当然双方にとってデメリットとなる。

とはいえ、英国がEUを離脱した後も、英国-EU間の貿易が関税フリーの自由貿易を続行することはないだろう。それでは英国にとってあまりにも都合が良過ぎるからだ。それを認めてしまうことが、他のEU加盟国のなだれ式離脱の引き金になってしまいかねないのだ。

そのため、独メルケル首相をはじめとするEU首脳は、英国の国民投票がEU離脱派勝利に終わるや否や、「EU離脱交渉で英国の”いいとこ取り”は決して認めない」「英国は早々に離脱に向けた話し合いの席につかなければならない(英国が自身に有利な条件をEU側から引き出す時間を与えないため)」等と詰め寄り、英国政府をけん制。

英国は窮地にたたされている。

また、EU側とてこれから他の加盟国が本格的に離脱に傾く可能性を否定できず、世界は、欧州の未来を問う今回の一件に端を発し、政治・経済両面で不透明感を漂わせている。

※英キャメロン首相は10月をもって首相の座を退くことが決まっている。そのため、EUに対して「離脱通行」を行うのは次期首相になる模様。2016年6月30日現在、EUはこの状況をやむなく認め、英国との離脱交渉を9月以降に先送りする意向を示したことが伝わっている。

 

<世界経済への影響>

EU加盟国中、経済規模第2位・拠出金規模第3位の英国が、自由貿易を捨ててEUを抜けることになるのだから、当事者である英国やEU諸国は、当然、当面相当不安定で苦しい経済状況を強いられることとなろう。

政治家が話をまとめなければ、企業家は対応の仕様がない。今後は交渉開始の時期や、交渉の過程、離脱後の見通し等が報じられるたび、企業サイドはそれにあわせて右往左往させられることになろう。

そうなれば、「せめて落ち着くまでは」と英国はおろか欧州でのビジネスを手控える向きもでてくるかもしれない。欧州経済の前途は極めて多難で不透明だ。

 

日本への影響はどうだろうか。

まず挙げられるのは、英国のEU離脱に大いに反応した為替市場、株式市場への影響だろう。主要メディアや経済識者は、こぞって将来的な円高・株安を懸念。

先行き不安な当事国通貨である欧州ユーロや英ポンドから逃避した資金が、比較的安全通貨とされる日本円に流入しかねないうえ、欧州情勢が不安定となったことで「米国FRB(連邦準備制度理事会=日本でいう日銀に相当)が利上げに動きずらくなった」との観測も円高要因に挙げられている。

他方、株式市場は日本時間昼過ぎに結果が判明した投票当日こそ大幅安となったものの、その後は落ち着きを取り戻し、徐々にではあるが値を戻しつつある。今後は、円高の影響も含めて、実体経済への影響が判明していくにつれ、株式相場にも相応の影響が現れることだろう。

なお、日本の実体経済への影響については、欧州進出企業であればやはり拠点やビジネススキームの見直しを迫られることになる点が挙げられる。

米国も状況はほぼ同様だ。グローバルに展開する大企業が多い分、英国とEUとの交渉の結果次第では、より大きな影響が出ることもあろう。

昨今、EU諸国と経済面で蜜月関係にあった中国は、足元の輸出不振がより一層深刻となる可能性が一部で指摘されている。その結果、中国経済が危機に陥り、世界経済の混乱にさらに輪をかけかねないと危ぶむ声は少なくない。

 

<英国とEUとの離婚協議はこれから始まる>

欧州には1億人を超える人口大国がない。地理的に国と国が密接しているため、古来より多数の戦争を経験してきた。だからこそ、第二次世界大戦後、欧州の団結を主張する声が強くなり、EUが組織・運営されてきたわけだ。

しかし、いつしかそのEU加盟国の中に得をする国と損をする国が生まれ格差が生じ、加盟国間に軋轢も生じた。その結果の一部が、欧州の盟主・英国のEU離脱だ。

 

正直なところ、「英国のEU離脱がもたらす影響」は誰しもが「図りきれていない」。

EUとの交渉を担うことになるであろう英キャメロン首相の後任も決まっていない今、前代未聞かつ問題山積のEUと英国の離婚協議は未だ「始まる時期」すら正確に見えていないのだ。

 

Brexit-英国がEU離脱へ!今後の見通しは?①
Brexit-英国がEU離脱へ!今後の見通しは?②

 

本記事は、2016年06月30日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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