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Panama Papers-パナマ文書流出で世界に激震

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法律事務所から流出した1150万点に及ぶ内部文書

南北アメリカ大陸を結ぶ中南米に位置する、カリブ海と太平洋に挟まれた小さな国-パナマ共和国。このパナマ共和国のとある法律事務所に、今、世界中の耳目が集まっている。

Panama Papers-日本語では”パナマ文書”と訳されるこのキーワードは、2016年4月初旬現在、全世界で最も検索されているホットワードであると言えよう。

 

法律事務所の名前はモサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)という。このモサック・フォンセカが保有していた1150万点に及ぶ内部文書が、話題の”パナマ文書”である。

これがドイツの新聞社を経由して国際調査報道ジャーナリスト連合:ICIJ(International Consortium of Investigative Journalists)の手に渡り、彼らによって、世界中に向けてリークされた。

※法律事務所側は「ハッキングを受けて流失した」と主張している一方、内部関係者が匿名で独新聞社に情報を提供したとするメディア報道が複数ある。

 

そうして”パナマ文書”は瞬く間に全世界の人々の耳目を集めることになるのだが、かくも注目を集めているのは、その文書が、世界各国の名だたる指導者や超有名スター等による、カリブ海の英領ヴァージン諸島等のTax Haven:タックス・ヘイブンと呼ばれる租税回避地を利用した、Offshore Dealing:オフショア取引の内容を示すものであったからだ。

アイスランドのグンロイグソン首相、サウジアラビアのサルマン国王、ウクライナのポロシェンコ大統領ら各国の首脳に加えて、サッカー界のスーパースターであるリオネル・メッシや、香港映画スターのジャッキー・チェンの名前までもが顧客として確認できる文書であり、彼らが租税回避地を利用したオフショア取引をしていたことを示す資料であれば、瞬時に世界の注目を集めるのも無理はない。

なお、習近平中国共産党中央委員会総書記にロシアのプーチン大統領、英国キャメロン首相等の超大物も、資料に直接本人の名前はないものの、側近や親族の名前が確認されたことで関与疑惑が持ち上がっている。

 

参考サイト:ICIJ-THE PANAMA PAPERS
参考記事:英国銀行HSBCが脱税指南―スイスリークス事件
※スイスリークス事件もICIJによるリーク

 

タックス・ヘイブンとオフショア取引

バミューダ諸島、イギリス領ヴァージン諸島、ケイマン諸島、モナコ、リヒテンシュタイン、オランダ領アンティル、サモア等など―。

タックス・ヘイブンと呼ばれる主な地域だ。

国土の狭さや海洋交通を要することが障壁となって目立った産業の発達が望めず、ヒト・モノ・カネを集めるための手段として、企業の租税負担をゼロないし極めて低率にする

「我が国に会社を設立してくれたら、税金がかかりませんよ」と謳って世界中から企業を誘致しているのが、これらタックス・ヘイブンである。

今日では世界中の企業がこれらタックス・ヘイブンに本籍地を移し、租税負担を回避しているわけだが、本来の納税地からすれば堪ったものではない。自国企業がタックス・ヘイブンに移転してしまうと、その分、税金をとりっぱぐれて自国の税収が減ってしまうためだ。

つとにGoogleAppleFacebook等、超一流に数えられるこれら企業は、その規模感からタックス・ヘイブンを利用した租税負担回避を行っている企業の象徴として悪目立ちしている。

 

さて、話をパナマ文書に戻そう。文書に名前の記載があった人々は何をしていたのか―。

自国で自身の名義によって投資をして利益がでれば、その利益は課税対象となる。自国に設立した法人を介した投資で得た利益も同様だ。

そこで、当該弁護士事務所を通じてタックス・ヘイブンに自身の法人を設立し、その法人を通じて世界中の金融商品等に投資する。

すると、投資で得た利益はタックス・ヘイブンに設立した法人のものとなり、税金がほとんどかからない。結果的に、その法人のオーナーである自身が、租税負担をほとんど負わずに投資で得た利益を享受できるわけだ。

 

なお、税や国際間取引に関連する法律の網の目を突いて行われる租税回避手法であるがゆえに、これは違法な脱税行為とは言いきれない(後付でも違法とするため、主要各国は法改正を急いではいるが・・・)。

しかしながら、これを国のトップや首脳陣がやっているとなると話は違う。

自国民には納税と社会福祉・インフラ不足への我慢を促しておきながら、国の首脳である自身は自国に税を収めることなく、他国で大いなる節税を行っているのだ。自国民から不満が噴出するのは必然である。

 

各国首脳に持ち上がる疑惑

アイスランドの首相であったグンロイグソン氏は、夫妻でヴァージン諸島に所有する法人を通じ、自国であるアイスランドの債券に投資していた疑惑で批判を浴び、4月5日に辞任を表明した。

アルゼンチンでは、汚職撲滅を訴えて民衆の支持を得ていたマクリ大統領に、下院議員やブエノスアイレス市長であった当時に無申告でオフショア取引に関与していた疑いが持ち上がり、検察当局が大統領の捜査活動に着手。

英キャメロン首相は、亡くなった父親がパナマに設立したファンドに投資して利益を得ていたことが判明(本人が認めている)。タックス・ヘイブンを利用した大企業の租税逃れを批判して世界的な規制強化を訴えていた旗振り役であるだけに、英国メディアは猛烈に彼を批判し、ロンドンでは同首相の辞任を要求する大規模デモまで起こっている。

ロシアのプーチン大統領は、側近や友人らがヴァージン諸島の法人を通じて巨額の金融取引を行っていたことが判明し、大統領自身にも疑惑の目が向けられているものの、”捏造”や”陰謀”を主張してこれを否定している模様。

中国では、”反腐敗”運動を強力に推し進めてきたハズの習近平国家主席の、極めて近しい親族がタックス・ヘイブンに複数の法人を所有していることから同主席の関与疑惑が浮上(他にも、複数の歴代共産党高級幹部の名が挙がっている)。ただし、中国国内では早々に情報規制が敷かれ、「パナマ文書」というキーワード自体が検索できなくなっているようで、当の習主席本人も中国共産党もダンマリを貫いている。

この他、マレーシアのナジブ首相、ウクライナのポロシェンコ大統領、シリアのアサド大統領、パキスタンのシャリフ首相、サウジアラビアのサルマン国王等、各国首脳にオフショア取引疑惑が持ち上がっている。

※兼ねてから脱税疑惑を指摘されていたスーパースターであるメッシ選手のほか、サッカー界では元UEFA会長のプラティニ氏や新たにFIFA会長となったインファンティーノ氏らが名指しで租税回避を疑われている。

 

日本と米国の関与は?

一方、朝日新聞報道によれば、日本の関与は以下の通り。

南ドイツ新聞と「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が入手したタックスヘイブン(租税回避地)の秘密ファイルには、日本国内を住所とする約400の人や企業の情報が含まれている。(引用元:2016年4月4日付け朝日新聞)

別紙報道では、大手商社や大手広告代理店の他、各業界の国内リーディングカンパニーの企業名が多数挙がっているようだ。

※ただ先にも述べた通り、タックス・ヘイブンを利用してオフショア取引を行っていたところで、その行為が必ずしも違法な脱法行為とはならない。
※大手国内企業の社名が本当にパナマ文書に載っているかどうか、情報の出所不明を指摘して、真偽を疑う報道もある。

 

なお、この手のリークがあると、最も関与件数が多そうな米国は、個人や企業の名前は挙がっているようだが、一部報道では”米国の政治家や著名人の名前が一切挙がっていない”ことが指摘されており、これが元で”パナマ文書自体が米国による陰謀”なる説までできているようだ。

 

本記事は、2016年04月12日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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